そしてクルージングに前向きになれる考え方

この生産量は過去10年間で10倍以上になっている。

日本の生産量は、74年に5万5000トンだったのが、80年には7万8000トン、84年には12万2000トン、86年には13万7000トンと、世界の消費を大きく上回る速度で増加している。 紫外線破壊のメカニズム地上約111キロから50キロの成層圏には、うっすらとオゾン(Q)が滞留している。
とくに高度20〜25キロあたりがもっとも濃い。 といっても、せいぜい10ppm程度の濃さでしかない。
これがオゾン層である。 大気中の酸素分子(Q)が紫外線を受けてばらばらになり、酸素原子(O)になる。
これが、周囲の酸素分子と結合してオゾンになるのである。 オゾンの寿命は、成層圏の下部で数カ月足らず、上部になると数時間ほどの短いものだ。
だが、一方で常に酸素からつくられているので、いつも一定量が存在している。 その量は地上にすべて集めたと仮定しても、厚さ3ミリほどのものだ。
この3にゼロを2個くっつけた300ドブソン単位(DU)が正常の量だ。 この「ドプソン単位」とは、世界で最初にオゾン層の測定機をつくった英国のG・M。
B・ドプソンの名をとったものである。 オゾンは不安定な分子で、短い波長の紫外線を受けて酸素原子(O)を出し、それがオゾン分子と反応して2個の酸素分子に戻る。
この過程で、太陽から降りそそぐ人体に有害な波長の紫外線の99パーセントを吸収する。 これが、「地球の宇宙服」とか「地球のサングラス」とかいわれる理フロンガスはきわめて安定した物質で、大気中に放出された後、理論的にはフロンVでは21年、フロンuでは75年間も分解しない。

使われたあとゆっくりと上昇して、10年ほどでオゾン層に達する。 これだけ丈夫な化合物だが、成層圏で紫外線に当たると分解して、塩素を切り離す。
この塩素がオゾンを分解する元凶で、不安定なオゾンをどんどん酸素に変えてしまう。 一個の塩素原子が連鎖反応で10万個ものオゾン分子を破壊するともいわれる。
現実に、大気中のフロンガスの濃度は刻々と増えている。 R博士らが70年代初期に測定したときは、フロンuの濃度は大西洋上やアイルランド上空で10〜100ppt(一兆分の一の単位)だった。
1988年の測定データでは、北半球の平均濃度は250pptと過去15年で平均3倍にもなっていることが確認された。 毎年4〜5パーセントずつ増加していることになる。
また、フロンuと同じように多く使われてきたフロンVは450pptにもなり、これもuと同じ速度で増えている。 これに比べて、電子部品の洗浄用などに使われるフロン畑は大気中の平均濃度は60pptほどだが、毎年10〜10パーセントの速い速度で増加し続けている。
東京大学のグループによると、日本の上空の大気中でも着実に増加しており、フロンuや皿の年間増加率4〜5パーセントで80〜86年の6年間で1・3倍になった。 一方、皿の方はこの間に2・3倍になっていた。
紫外線の影響紫外線は、皮層がんの原因となる有害の光線だ。 それは、色素性乾皮症という遺伝病の存在からもよく分かる。
生まれつき紫外線への抵抗力のない病気で、軽い日焼けでも重症になり、皮層がんが多発して若くして死ぬ人も多い。 この病気が紫外線による皮層がん発生メカニズムの解明に役立っている。

皮層に紫外線が当たると、細胞の核内にある遺伝子(DNA)が傷つく。 通常なら、遺伝子の修復機構が働いて元に戻る。
しかし、この遺伝病の人は修復機構がうまく働かないために、遺伝情報が狂って細胞分裂が制御できなくなり、無秩序に分裂を起こしてがんにまで進んでしまうのだ。 このように遺伝子に傷をつけるのは、紫外線の中でもとくに波長の短いものだ。
オゾン層はうまい具合に、この波長域の紫外線の99パーセントまでを吸収している。 オゾン層の穴が開くということは、地上に降りそそぐ紫外線が増加することを意味する。
皮層がんの中でも紫外線と関係の深いのは、表皮の一部である有刺層ががん化する「有刺細胞がん」だ。 野菜のカリフラワーのように皮層が盛り上がってきて悪臭を放ち、転移しやすくて危険ながんだ。
さらに深い部分の基底層ががんになる「基底細胞がん」も起こす。 毛穴の細胞が異常に増殖するもので、レーガン元米大統領の鼻の頭にできたのもこれである。
カリフォルニアで日光浴をし過ぎたことが原因だともいわれている。 また、皮層の色を決めているメラニン色素をつくり出している細胞ががんになる「悪性黒色腫」も、紫外線と関係が深い。
オゾン層のオゾンの量が一パーセント減ると、地上に降りそそぐ有害な紫外線はニパーセント増える。 これによって白人の場合、有刺細胞がんは4パーセント、基底細胞がんは6パーセント発生率が上がることになる。
米国環境保護局(EPA)は、オゾン量が一パーセント失われると、皮膚がんの患者は米国内だけでも年間約6000人も増加すると予測している。 このままオゾン層が減り続ければ、米国内では2075年までに4000万人ががんにかかり、80万人が死ぬという仮定を発表している。
しかも、紫外線の2パーセント増加は、白内障患者を一パーセント増やすことにもなる。 オーストラリアでも、オゾン量が1パーセント減るたびに、年間約5000人の新規の皮庸がん患者が出ると予想されている。

後述するように、「モントリオール議定書」通りフロン消費量が1986年レベルに比べて98年までに50パーセント削減できたとしても、当分オゾン層の破壊が続くことから、来世紀には有刺細胞がんは31パーセント、基底細胞がんは33パーセントは増えることになる。 さらに規制が厳しくなって今世紀内にフロン使用が全廃されたとしても、それぞれ16、26パーセントの増加になる。
これは、米国だけでも1075年には皮層がんで17万人以上が死亡することを意味する。 オーストラリアの例でも分かる通り、皮層がんは暑い国に移住した白人にとくに多発しており、ニュージーランド、イスラエル、米国(とくに南部)でも、発病率が過去10年で4倍以上になっ黄色人種の日本人の発生率は白人に比べては少ないが、それでも過去15年間にニ倍以上になるほどに急増していることは不気味である。
患者は北海道、東北よりも、日照量の多い四国、9州に多い。 世界的な皮層がんの増加は、まだオゾン層の破壊によるというよりは、戸外でのスポーツやレジャーの人口が増えたためと考えられている。
日本でもゴルフ人口の急増と皮層がんの多発は無縁ではなさそうだ。 フロンガスが「温室効果」にも大きく関わっていることを述べたが、農業への影響も心配されている。
実験的には、紫外線が10パーセント増加すると穀物の収穫量が10パーセント減少する。 また、海では紫外線が10パーセント増加するとカタクチイワシの稚魚が5パーセント死に、プランクトンも大きな影響を被る、と考えられている。
世界が立ち上がったフロンガスによるオゾン層の破壊が問題になってきた1970年代、環境保護派と業界の激しい議論の果てに、米国政府は78年にエアゾール製品用のフロンガスの製造を禁止し、カナダがすぐったほどだ。


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